コラム

セルフオーダーシステム導入で使える補助金5選!申請手順と支給額を解説

作成者: 張 也|Dec 8, 2025 1:05:37 AM

「セルフオーダーシステムを導入したいけれど、初期費用が高くて躊躇している」という飲食店経営者の方は多いのではないでしょうか。実は、セルフオーダーシステムの導入には、IT導入補助金をはじめとする5つの補助金・助成金制度が活用でき、最大450万円の支援を受けることが可能です。

人手不足や人件費高騰に悩む飲食業界において、補助金の存在を知らずに導入を諦めてしまうと、競合他社に大きく遅れを取る可能性があります。さらに、補助金申請のタイミングを逃せば、数百万円の支援を受ける機会を失ってしまいます。

本記事では、セルフオーダーシステム導入に活用できる5つの補助金制度の概要、申請条件、支給額、具体的な申請手順まで詳しく解説します。補助金を活用して、賢く効率的にデジタル化を進めましょう。

 セルフオーダーシステム導入に使える5つの補助金・助成金制度

IT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のデジタル化を支援する制度です。セルフオーダーシステムは「デジタル化基盤導入類型」※1に該当し、補助率は最大3/4、上限額は最大450万円という手厚い支援を受けられます。

※1 デジタル化基盤導入類型:会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどのITツールを導入する際に利用できる類型

補助率と上限額は、導入するシステムの機能要件数によって異なります。機能要件が1つの場合は補助率3/4(上限50万円)機能要件が2つ以上の場合は補助率2/3(上限50万円~350万円)となります。さらに、賃上げ要件を満たすことで補助率が引き上げられる場合もあります。

セルフオーダーシステムの場合、「受発注機能」と「決済機能」の2つの機能要件を満たすことが多いため、多くの飲食店で補助率2/3での申請が可能です。ハードウェア(タブレット端末など)も補助対象となり、PC・タブレット等は補助率1/2(上限10万円)、レジ・券売機等は補助率1/2(上限20万円)の支援を受けられます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、従業員数が5人以下(飲食業の場合)の事業者を対象とした制度です。販路開拓や生産性向上の取り組みに対して支援を行い、セルフオーダーシステムの導入も補助対象となります。

補助金は5つの申請枠に分かれており、それぞれ上限額が異なります。通常枠では上限50万円ですが、賃上げ枠(200万円)、卒業枠(200万円)、後継者支援枠(200万円)、創業枠(200万円)では、より高額な支援を受けることができます。さらに、インボイス特例として一律50万円の上乗せがあるため、最大250万円の補助を受けることも可能です。

申請時には、商工会議所または商工会の支援を受けて「経営計画書」と「補助事業計画書」を作成する必要があります。これらの支援機関では、計画書作成のアドバイスや添削も行っているため、初めての申請でも安心して進められるのが特徴です。補助率は原則2/3ですが、賃上げ枠では3/4に引き上げられます。

ものづくり補助金・事業再構築補助金・業務改善助成金

これら3つの補助金は、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。

ものづくり補助金は、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う事業者を支援する制度です。従業員規模に応じて上限額が変動し、5人以下で750万円、6~20人で1,000万円、21~50人で1,250万円、51人以上で2,500万円となります。セルフオーダーシステムを活用した新しいサービスモデルの構築などが対象となる可能性があります。

事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するための事業再構築を支援する制度です。補助上限額は100万円~1億円以上と幅広く、事業規模や申請枠によって異なります。飲食店が新たにセルフオーダーシステムを導入してビジネスモデルを転換する場合などに活用できます。

業務改善助成金は、最低賃金の引き上げと生産性向上を両立する事業者を支援する制度です。最低賃金を一定額以上引き上げることが条件となりますが、その代わりに設備投資費用の一部が助成されます。セルフオーダーシステムの導入により、少ない人数で効率的な店舗運営を実現し、従業員の賃金アップにつなげることができます。

 補助金申請の手順と必要書類の準備方法

補助金申請前に準備すべき書類と認定支援機関の選び方

補助金申請を成功させるためには、事前準備が重要です。まず準備すべき基本書類※2を整理しましょう。

※2 基本的な必要書類:

  • 履歴事項全部証明書(法人)または確定申告書(個人事業主)
  • 直近2期分の決算書
  • 事業計画書
  • 見積書(IT導入支援事業者から取得)
  • その他補助金ごとに定められた書類

特に重要なのが、IT導入支援事業者または認定経営革新等支援機関の選定です。IT導入補助金の場合、事前に登録されたIT導入支援事業者を通じてのみ申請が可能です。OneQRのような登録事業者は、申請書類の作成支援から導入後のフォローまで一貫してサポートを提供しています。

認定支援機関を選ぶ際は、過去の採択実績飲食業界への理解度申請後のサポート体制を確認することが重要です。また、複数の機関から相見積もりを取り、費用とサービス内容を比較検討することをおすすめします。初回相談は無料の機関が多いため、まずは相談してみることから始めましょう。

申請から採択までの具体的なスケジュール

補助金申請から採択、そして補助金受領までの流れを理解することで、計画的な導入が可能になります。以下に、一般的なスケジュールを示します。

補助金申請の標準的なスケジュール

フェーズ 期間 主な作業内容
事前準備 1-2週間 IT導入支援事業者の選定、必要書類の収集
申請書作成 2-3週間 事業計画書の作成、見積書の取得、申請書類の作成
申請~採択 1-2ヶ月 申請書提出、審査期間(この間は待機)
交付決定~導入 1-2ヶ月 交付決定通知受領、システム導入・支払い
実績報告~補助金受領 1-2ヶ月 実績報告書作成・提出、補助金の入金

重要なポイントは、補助金は原則として後払いであることです。つまり、先に自己資金でシステムを導入し、その後に補助金が支給されます。このため、一時的な資金調達の準備も必要となります。

また、各補助金には申請期限(締切)が設定されています。IT導入補助金は年に複数回の公募がありますが、予算がなくなり次第終了となるため、早めの申請が推奨されます。

申請書作成のポイントと審査通過率を上げるコツ

補助金の採択率を高めるためには、申請書の質が極めて重要です。審査員に事業の必要性と効果を明確に伝えることがポイントとなります。

申請書作成で特に重視すべき点は、具体的な数値目標の設定です。例えば、「セルフオーダーシステム導入により、注文受付時間を現在の5分から1分に短縮し、1日あたりの客席回転率を1.5倍に向上させる」といった具体的な改善指標を示します。また、人件費削減効果についても、「レジ担当スタッフ1名分の人件費(月額25万円)を削減し、年間300万円のコスト削減を実現」など、定量的に表現することが重要です。

さらに、導入後の活用計画も詳細に記載しましょう。単にシステムを導入するだけでなく、「多言語対応機能を活用してインバウンド客を20%増加させる」「注文データを分析して人気メニューを開発し、客単価を10%向上させる」など、継続的な改善サイクルを示すことで、審査員への説得力が増します。

 補助金を活用した導入成功のポイントと注意点

補助金利用時の3つの重要な注意点

補助金を活用する際には、以下の3つの重要な注意点を必ず押さえておく必要があります。

補助金利用時の重要な注意事項

1. 交付決定前の発注・契約は補助対象外

補助金の交付決定通知を受ける前に発注や契約を行った費用は、一切補助対象となりません。必ず交付決定を待ってから正式な契約を結びましょう。

2. 実績報告の期限厳守が必須

補助事業完了後、定められた期限内に実績報告書を提出する必要があります。期限を過ぎると補助金が受け取れなくなるため、スケジュール管理を徹底しましょう。

3. 5年間の財産処分制限

補助金で取得した設備等は、5年間の財産処分制限期間があります。この期間中に処分する場合は、補助金の返還が必要になることがあります。

これらの注意点を守らないと、最悪の場合、補助金の返還を求められる可能性があります。特に交付決定前の発注は、多くの事業者が陥りやすいミスです。「早く導入したい」という気持ちは理解できますが、必ず正式な手続きを踏んでから進めることが重要です。

自己負担額を最小限に抑える導入計画の立て方

補助金を最大限活用し、自己負担を抑えるためには、戦略的な導入計画が不可欠です。まず、複数の補助金を組み合わせることで、より大きな支援を受けられる可能性があります。例えば、IT導入補助金でシステム本体を、小規模事業者持続化補助金で付帯設備を導入するなど、補助金の併用を検討しましょう。ただし、同一の経費を複数の補助金で申請することはできないため、事前に確認が必要です。

次に、段階的な導入計画を立てることも効果的です。初年度は基本的なセルフオーダー機能のみを導入し、次年度に分析機能や多言語対応機能を追加するなど、複数年にわたって補助金を活用することで、トータルの自己負担を軽減できます。

また、リース契約の活用も検討に値します。一部の補助金では、リース契約も補助対象となる場合があります。初期投資を抑えながら最新のシステムを導入でき、キャッシュフローの改善にもつながります。導入支援事業者に相談し、最適な資金計画を立てることが成功への近道です。

補助金交付後の報告義務と実績管理

補助金を受け取った後も、継続的な報告義務があることを忘れてはいけません。多くの補助金では、事業完了後5年間にわたって「事業化状況報告」の提出が求められます。これは、補助金が適切に活用され、計画通りの効果を上げているかを確認するためのものです。

報告書では、売上高の推移生産性の向上状況雇用の創出効果などを定期的に報告する必要があります。このため、導入時から適切なデータ管理体制を構築しておくことが重要です。セルフオーダーシステムの場合、注文データや売上データが自動的に蓄積されるため、これらのデータを活用した報告書作成が可能です。

また、目標未達成の場合のペナルティはありませんが、次回以降の補助金申請時に不利になる可能性があります。そのため、現実的な目標設定と、継続的な改善活動が求められます。OneQRでは、導入後も定期的なフォローアップを行い、目標達成に向けたサポートを提供しています。

 補助金を活用したセルフオーダー導入プロセス

補助金申請から導入完了までの実際のプロセス

実際の補助金申請から導入完了までのプロセスを、具体的なスケジュールをもとに紹介します。ある飲食チェーン店では、2024年4月にセルフオーダーシステムの導入を決定し、以下のスケジュールで進めました。

4月上旬:導入検討開始。セルフオーダーシステム会社に相談し、システムデモと補助金活用の可能性について説明を受けました。その場で概算見積もりを取得し、IT導入補助金の活用を決定しました。

4月中旬~5月上旬:申請準備。必要書類を収集し、事業計画書を作成。支援を受けながら、「注文受付時間の50%削減」「人件費の20%削減」といった具体的な目標を設定しました。

5月中旬:申請書提出。オンラインで申請書を提出。この時点で、システムの詳細仕様も確定させました。

6月下旬:採択通知。申請から約1.5ヶ月で採択通知を受領。すぐに交付申請手続きを行いました。

7月上旬:交付決定・導入開始。交付決定通知を受けてから正式に発注。タブレット端末の設置、スタッフ研修を含め、約3週間で導入を完了しました。

8月:実績報告・補助金受領。導入完了後、請求書や支払い証明書などを添付して実績報告書を提出。約1ヶ月後に補助金が振り込まれました。

このように、申請から補助金受領まで約4ヶ月のプロセスとなりましたが、スムーズに進めることができました。

導入後の効果測定と投資対効果の実績

福岡のとある大学食堂では、セルフオーダー・モバイルオーダーシステムを初期費用ゼロで導入し、その後の効果測定を詳細に行っています。導入から6ヶ月後の実績データを見ると、具体的な改善効果が明確に現れています。

導入6ヶ月後の効果測定結果

 待ち時間の削減:従来の平均15分から5分へ(1/3に短縮
 1日あたりの提供食数:450食から680食へ(約50%増加
 レジ担当スタッフ:3名から1名へ(2名分の人件費削減
 現金管理時間:1日60分から0分へ(完全削減
 月間売上:前年同月比で115%を達成

投資対効果の面では、導入費用を8ヶ月で回収できました。人件費削減効果(月額約50万円)と売上増加効果(月額約30万円)を合わせると、月間80万円の改善効果が生まれています。さらに、学生の満足度調査では、「待ち時間が短くなった」「スマートフォンで簡単に注文できて便利」といった声が多く、利用者満足度が85%から94%に向上しました。

これらの実績から、セルフオーダーシステムは単なるコスト削減ツールではなく、売上向上と顧客満足度向上を同時に実現する戦略的投資であることが証明されています。

 まとめ|補助金を活用して賢くデジタル化を実現しよう

本記事では、セルフオーダーシステム導入に活用できる5つの補助金制度について詳しく解説しました。IT導入補助金では最大450万円、小規模事業者持続化補助金では最大250万円など、それぞれの補助金には異なる特徴と支援内容があります。

補助金申請で最も重要なのは、交付決定前に発注しないことと、具体的な数値目標を設定することです。また、補助金は後払いであることを理解し、適切な資金計画を立てることも欠かせません。導入事例からもわかるように、補助金を活用することで初期投資の負担を大幅に軽減し、8ヶ月程度で投資回収することも可能です。

人手不足時代において、セルフオーダーシステムの導入は避けて通れない経営課題です。補助金を活用すれば、リスクを最小限に抑えながらデジタル化を推進できます。まずは、IT導入支援事業者に相談し、自店に最適な補助金活用プランを検討してみてはいかがでしょうか。

次のステップとして、OneQRの相談窓口では、貴店の状況に応じた最適な補助金選定と申請サポートを無料で提供しています。[お問い合わせフォーム]から、お気軽にご相談ください。