飲食店でお客様が自分でタブレットやスマホから注文できるセルフオーダーシステムを導入したいけれど、どのように始めれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。セルフオーダーシステムは、タブレット型やQRコード型など複数の種類があり、飲食店の規模や業態に合わせて選ぶことで、人件費削減と業務効率化を同時に実現できます。
人手不足で注文を取るスタッフが足りない、オーダーミスによるクレームが絶えない、人件費が経営を圧迫している...こうした課題は多くの飲食店経営者の悩みです。適切なセルフオーダーシステムの導入方法を知らないまま経営を続けると、競合店に顧客を奪われ、収益性が悪化する可能性があります。
この記事では、セルフオーダーシステムの種類と特徴、具体的な導入手順、そしておすすめのサービス3選(スマレジ・ユビレジ・Square)の費用と機能を詳しく解説します。
セルフオーダーシステムの基本知識と種類
セルフオーダーシステムとは?仕組みと導入背景
セルフオーダーシステムとは、飲食店においてお客様自身がタブレットやスマートフォンなどの端末を使って注文を行うシステムのことです。従来の「店員が注文を取りに来る」スタイルから、「お客様が自分で注文する」スタイルへの転換により、業務効率化と顧客サービスの向上を実現します。
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セルフオーダーシステム導入が進む4つの背景
注釈:2024年の帝国データバンク調査によると、飲食店の約80%が人手不足を感じています
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慢性的な人手不足の解消
飲食業界は深刻な人手不足に直面しており、注文業務の自動化により少人数での運営が可能になります。
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感染症対策としての非接触ニーズ
コロナ禍以降、スタッフとの接触機会を減らす非接触型サービスへの需要が高まっています。
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デジタル端末の普及と操作習熟度の向上
スマートフォンやタブレットの普及により、幅広い年齢層がデジタル端末の操作に慣れ親しんでいます。
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経費削減とデータ活用
人件費削減に加え、注文データの蓄積により売れ筋商品の分析や在庫管理の効率化が可能になります。
タブレット型・QRコード型・タッチパネル型の特徴比較
セルフオーダーシステムには主に3つの種類があり、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。店舗の規模や業態、ターゲット顧客に応じて最適な方式を選択することが重要です。
各方式の特徴比較表
| 比較項目 |
タブレット型 |
QRコード型 |
タッチパネル型(キオスク) |
| 初期費用 |
中(端末購入必要) |
低(QRコード印刷のみ) |
高(大型端末必要) |
| 導入場所 |
各テーブル設置 |
テーブル/壁面に掲示 |
店舗入口 |
| 操作端末 |
店舗提供タブレット |
客のスマートフォン |
店舗設置タッチパネル |
| 対象業態 |
ファミレス・居酒屋 |
カフェ・小規模店舗 |
ファストフード |
| メンテナンス |
充電・清掃必要 |
ほぼ不要 |
定期点検必要 |
| 多言語対応 |
〇(設定で切替) |
◎(自動判別可能) |
〇(設定で切替) |
選び方のポイント:回転率重視ならタッチパネル型、初期投資を抑えたいならQRコード型、メニューの視覚的訴求を重視するならタブレット型がおすすめです。
セルフオーダー導入のメリット・デメリット
セルフオーダーシステムの導入には多くのメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。導入前に両面を理解し、自店舗に適した運用方法を検討することが成功の鍵となります。
導入メリット
■ 業務効率化とコスト削減
注文受付業務が自動化されることで、ホールスタッフを30〜50%削減できます。また、注文ミスによる作り直しや返品が減少し、食材ロスの削減にもつながります。オーダー内容が直接キッチンプリンターに送信されるため、聞き間違いや伝達ミスがなくなります。
■ 顧客満足度の向上
お客様は自分のペースで注文でき、待ち時間のストレスが軽減されます。画像付きメニューで料理のイメージが伝わりやすく、アレルギー情報なども詳細に表示できます。
導入デメリットと対策
■ 高齢者や機械操作が苦手な顧客への配慮
デジタル端末の操作に不慣れな顧客層には、従来の注文方法も併用し、スタッフによるサポート体制を整える必要があります。
■ 初期投資とランニングコスト
タブレット端末の購入費用(1台あたり3〜5万円)や月額システム利用料(5,000円〜/台)など、継続的な費用が発生します。ただし、人件費削減効果により6〜12ヶ月で投資回収が可能なケースが多いです。
飲食店でセルフオーダーシステムを導入する7つのステップ
POSレジ選定から端末導入までの準備(ステップ1-3)
セルフオーダーシステムの導入を成功させるためには、事前準備が鍵となります。まずは、店舗の規模や業態に適したPOSレジとセルフオーダーシステムの選定から始めましょう。
ステップ1:POSレジ・セルフオーダーシステムの選定
注釈:現在のPOSレジを活用できる場合が多く、必ずしも新規導入が必要ではありません
選定時の確認ポイント: セルフオーダーシステムを選定する際には、まず現在利用中のPOSレジとの連携可否を確認することが重要です。新たにPOSレジを導入する必要がなければ、初期コストを大幅に削減できます。また、月額費用と初期費用のバランスを検討し、予算に合ったプランを選びましょう。サポート体制については、電話やチャット対応の有無だけでなく、対応時間やレスポンスの速さも確認が必要です。さらに、キャッシュレス決済への対応状況は、現代の飲食店経営において必須条件といえるでしょう。
ステップ2:端末の準備・購入
選択した方式に応じて、必要な端末や周辺機器を準備します。QRコード型の場合は端末購入が不要で初期費用を大幅に削減できます。
ステップ3:ネットワーク環境の整備
安定したインターネット接続は必須です。特に混雑時には多数の端末が同時接続するため、業務用Wi-Fiルーターの導入を推奨します。
商品登録・動作確認・スタッフトレーニング(ステップ4-5)
システムが整ったら、次は実際の運用に向けた設定とスタッフ教育を進めます。この段階での入念な準備が、スムーズな運用開始につながります。
ステップ4:メニュー情報の登録
以下の情報を漏れなく登録します:
- 商品名、価格、商品説明
- アレルギー情報・カロリー表示
- 商品写真(食欲をそそる高品質なもの)
- トッピングやサイズのオプション設定
ポイント:写真は売上に大きく影響します。プロに撮影を依頼するか、明るい場所で丁寧に撮影しましょう。
ステップ5:スタッフトレーニングの実施
セルフオーダー導入成功の鍵はスタッフの理解と協力です。以下のポイントを中心に教育を行います:
- システムの基本操作方法
- お客様への案内・サポート方法
- トラブル時の対応手順
- 新しい業務フローの理解
運用開始とトラブル対応の準備(ステップ6-7)
いよいよ運用開始です。スムーズな導入を実現するために、段階的な運用開始とトラブル対応体制の構築が重要です。
ステップ6:段階的な運用開始
推奨導入スケジュール
1週目:ピークタイム以外でテスト運用
2週目:一部テーブルで本格導入
3週目:全席で導入完了
段階的導入のメリット:スタッフが慣れる時間を確保し、お客様の反応を見ながら改善できます。
ステップ7:トラブル対応マニュアルの整備
よくあるトラブルと対応方法:
- タブレットが動かない→再起動手順の確立
- 注文が通らない→ネットワーク確認方法
- 操作が分からない→簡単な操作ガイドの設置
おすすめセルフオーダーシステム3選と費用比較
スマレジ・テーブルオーダーの特徴と費用
スマレジは、iPadを活用したコストパフォーマンスに優れたセルフオーダーシステムです。小規模店舗から多店舗展開する事業者まで幅広く対応しており、直感的な操作性が特徴です。
スマレジ・テーブルオーダーの料金体系
注釈:下記価格は2025年1月現在の情報です
| 項目 |
金額 |
| 初期費用 |
0円~ |
| 月額利用料(プレミアムプラン) |
5,500円/店舗 |
| iPad端末代 |
約50,000円/台 |
| 決済手数料 |
3.24%~ |
特徴的な機能:
- 100種類以上の豊富な機能
- 在庫管理や売上分析との連携
- キャッシュレス決済に完全対応
- 24時間365日のサポート体制
ユビレジ QRオーダー&決済の特徴と費用
ユビレジはQRコードを活用した初期費用を抑えたセルフオーダーシステムです。お客様のスマートフォンを活用するため、タブレット端末の購入が不要で、導入ハードルが低いことが特徴です。
ユビレジ QRオーダー&決済の料金体系
| 項目 |
金額 |
| 初期費用 |
0円 |
| 月額利用料 |
0円~(フリープランあり) |
| QRコード作成 |
無料 |
| 決済手数料 |
3.24%~ |
特徴的な機能:
- モバイルオーダーでテイクアウト対応
- 多言語対応(英語・中国語など)
- SNS連携機能
- リピーター獲得に役立つ会員機能
Square セルフオーダーシステムの特徴と費用
Squareは、キオスク端末を活用したファストフード向けセルフオーダーシステムを提供しています。特に回転率を重視する店舗や、大手チェーン店での導入実績が豊富です。
Square キオスク端末の料金体系
| 項目 |
金額 |
| キオスク端末代 |
29,980円/台 |
| 月額利用料 |
5,000円/台 |
| Square POSレジ |
無料 |
| 決済手数料 |
3.25%~ |
導入事例:大学食堂での成功事例
OneQRを導入した大学食堂では、混雑する昼時の待ち時間を1/3に短縮。スマートフォンでの事前注文とキャッシュレス決済により、券売機や現金管理が不要となり、運営コストの大幅削減を実現しました。多言語対応(日英中韓)により、留学生の利便性も向上しています。
導入時の注意点とトラブル対策
顧客層に応じた操作サポートの重要性
セルフオーダーシステムの成功は、全てのお客様がストレスなく利用できる環境作りにかかっています。特にデジタル機器に不慣れな高齢者や視覚障害者への配慮は必須です。
年齢層別のサポート体制
注釈:消費者調査では、70歳以上の約30%がセルフオーダーに不安を感じています
- 若年層(20〜40代):基本的にサポート不要、操作説明は最小限
- 中高年層(50〜60代):初回利用時の丁寧な説明
- 高齢者(70代以上):常にスタッフがサポートできる体制
実践的な対策: 高齢者や機械操作が苦手なお客様にも安心して利用いただくためには、複数の配慮が必要です。まず、画面設計においては大きな文字とシンプルなボタン配置を心がけ、複雑な操作を最小限に抑えましょう。音声ガイダンス機能を導入すれば、視覚障害者の方や画面を見るのが負担になるお客様にも対応できます。また、困った時にすぐスタッフを呼べるよう、スタッフ呼び出しボタンを分かりやすい位置に設置することも大切です。さらに、全てのお客様にセルフオーダーを強制するのではなく、従来の口頭注文方法も併用できる体制を整えることで、誰もがストレスなく食事を楽しめる環境を作りましょう。
ネットワーク環境の整備と安定性確保
セルフオーダーシステムはインターネット接続が命線です。ネットワークの不具合は即、注文不可となり顧客満足度の低下につながるため、充分な対策が必要です。
ネットワーク環境整備のチェックリスト
□ 業務用Wi-Fiルーターの導入(家庭用はNG)
□ バックアップ回線の準備(4G/5Gなど)
□ 混雑時を想定した負荷テスト
□ 定期的な速度測定と改善
□ 緊急時の代替手段の確立
推奨スペック:
- 回線速度:上り50Mbps以上
- 同時接続数:席数×2以上
- 遅延:50ms以下
端末の衛生管理と定期メンテナンス
不特定多数のお客様が触れるタブレット端末は、適切な衛生管理とメンテナンスが不可欠です。特に感染症対策の観点からも、定期的な清掃と消毒はお客様の安心感につながります。
日常メンテナンススケジュール
| 頻度 |
作業内容 |
| 毎日 |
画面の清掃、充電確認 |
| 週次 |
アプリ更新、動作チェック |
| 月次 |
OSアップデート、保護フィルム交換 |
| 3ヶ月 |
バッテリー劣化確認 |
導入事例:オフィス向け冷凍パン販売での成功
株式会社パンフォーユーは、オフィス向け福利厚生サービスとして冷凍パンの無人販売にOneQRを導入。QRコードを3ステップで購入できるシンプルな操作性と40種類以上のキャッシュレス決済により、導入後の売上(パンの販売数)が115%に向上しました。
まとめ
飲食店でのセルフオーダーシステム導入は、人手不足解消と業務効率化を実現する有効な手段です。タブレット型、QRコード型、タッチパネル型それぞれに特徴があり、店舗の規模や業態に応じて最適な方式を選ぶことが成功の鍵となります。
導入にあたっては、POSレジの選定から端末準備、商品登録、スタッフトレーニング、そして段階的な運用開始という7つのステップを確実に進めることが重要です。おすすめのサービスとしては、コストパフォーマンスに優れたスマレジ、初期費用を抑えられるユビレジ、回転率重視のSquareがあり、それぞれ異なる強みを持っています。
ただし、高齢者への配慮、安定したネットワーク環境、端末の衛生管理といった注意点を押さえることも忘れてはいけません。これらを適切に管理することで、お客様満足度の向上と持続可能な店舗経営を実現できるでしょう。
セルフオーダーシステムの導入をご検討中の方は、まず自店舗の課題と目標を明確にし、それに最も適したシステムを選択することから始めてみてください。導入支援や詳細な費用見積もりについては、各サービス提供会社へのお問い合わせをおすすめします。